Windowsが世界でもっとも使用されているOSということもあり、Web閲覧のためのブラウザといえば「Internet Explorer」を使う人が大半です。
そんなわけで私もWebサイトの閲覧と作成時には、Sleipnirという国産ブラウザ(Internet Explorerと同じレンダリングエンジン搭載ー画面表示を実現ーしつつ、各種オプションメニューが充実)を使用していたのですが、利用しているGMail(Googleの無料オンラインメールソフト)の表示速度が遅くなってイライラするようになってきました。
これは、GMailがJavascript等を多用した、高機能かつ重たいページに仕組みが変更になったことが影響しています。
そして、まもなく届くであろうデルのミニノートPC(UMPC)、Inspiron mini 9は、間違いなく現在使用しているパソコンよりも非力なので、Internet Explorer、Sleipnirだと今以上に表示速度が遅くなることが容易に想像できます(ページの表示速度は、回線速度だけでなく、PCスペックもある程度の影響を及ぼします)。
うーん、これを機に、「動作が軽く、画像の表示が速い」と評判の、最近登場したGoogle Chromeに乗り換えようかなぁ。それともヘビーユーザーが「javascriptを多用したサイトの表示速度が速い」と絶賛する、Firefoxにしようかなぁ・・・。
<主なブラウザのレンダリングエンジンの特徴>
○Internet Explorer:Trident(トライデント)
ユーザーが圧倒的に多いInternet Explorerに搭載されているエンジンということで、基本的にWebサイトはこのエンジンで正しく表示できるように作られていることが多い。
ただし、最近流行のWeb2.0(ユーザー参加型サイト)に多様されるJavascriptの処理があまり早くなく、バグ(誤り)も多いという話。
○Firefox:Gecko(ゲッコー)
Internet Explorerの使い勝手の悪さ、セキュリティの甘さ等から、ブラウザを乗り換えようと考えたヘビーユーザーの多くが選択したブラウザがFirefoxであり、そのFirefoxに搭載されているエンジン。Javascriptの処理が早いため、ページの表示速度がInternet Explorerよりも速いと言われている。
○Google Chrome、Safari:Webkit(ウェブキット)
Macユーザーのスタンダードブラウザ、Safariに搭載され、動作が軽いと評判のGoogle Chromeにも搭載されたエンジン。特に画像の表示速度が秀逸なので、画像を多用したサイトの表示に適しているとのこと。Google Chromeであれば、ソフト単体の軽快さも手伝い、ページの表示速度がInternet Explorerの4倍程度早いらしい。
(参考記事)
○Ascii.jp「IE7の4倍速い!グーグルの新ブラウザー「Chrome」」
というわけで、FirefoxとGoogle Chromeをインストールしてみたのですが、今までSleipnirの利便性に慣れていただけに、なんか使い勝手がいまいち。
Firefoxはページを高速に表示してくれるのですが、各種プラグインを導入することで自分の思い通りのブラウザに育てていく必要があり、少々大変です(導入しすぎると重くなりますし)。
また、InternetExplorerのエンジンと互換性があまりなく、InternetExplorerで正しく表示できていたページが、Firefoxだと崩れているということも(後述しますが、私のサイトも表示がおかしかったです)。
Google Chromeは、確かに動作が軽く、またトップページに最近表示したページの画面イメージが表示されるところがとても便利なのですが、お気に入りなどを常に横に表示させる「サイドバー」を利用することが出来ず、まだまだ発展中といった感じで、自分の思い通りに設定できるところの少ない点が残念。
また、なんだか文字の表示サイズが他のブラウザよりも小さく、フォントもあまり綺麗ではない気がします・・・。
InternetExplorerとあわせ、これらのブラウザを必要に応じて使い分けていればよいのでしょうが、それも面倒なことですし・・・。
どうしたものか、と色々と調べていたところ、「Lunascape」というブラウザの存在を思い出しました。昔、Sleipnirを導入するときに、それ以外の選択肢のひとつとして考えていたブラウザですが、当時はSleipnirのほうが機能的に優れていた(ような気がした)ので導入しなかった記憶があります。
ところが、なんと、最新の5.0rc版(まだ正式版ではなくテスト段階)では、InternetExplorerのエンジン(「Trident」)だけでなく、Firefoxのエンジンである「Gecko」、Google Chrome、Safari(Macの標準ブラウザとして有名)のエンジンである「Webkit」を搭載し、自由に切り替えられるというではありませんか。
しかも搭載しているGeckoには、次期Firefoxに適用予定の新JavaScriptエンジン「TraceMonkey」を適用し、さらに独自のチューニングを施していることから、本家のブラウザよりもページの表示速度は速いようです。
(参考)
Ascii.jp「Google Chromeよりも速いブラウザーが登場」
Ascii.jp「UMPCで「使える」ブラウザーはどれだ!」
ブラウザの機能はSleipnirに似ており、Sleipnirのように「サイドバー」を活用できますし、エンジン全部入りなので、3つのブラウザを全部インストールして使い分ける必要もなくなります。
ミニノートパソコン(UMPC)では、どの程度起動が遅くなり、CPUとメモリを使用するのか気になりますが、ページの表示速度が本家各ブラウザよりも高速なので、動作に問題なければ、これほどすばらしいブラウザはありません。(導入レポートはそのうち)
・・・そんなわけで、SleipnirからLunascapeに乗り換えることにしました。
タブブラウザ Lunascapeのダウンロードはこちら
使用してみた感想ですが、確かに3つのエンジンを切り替えることができるというのは便利。
「このサイトはこのエンジンで!」と指定することもできるので、通常は表示速度の速いGeckoエンジンを使用し、体裁が崩れる等の不具合が出た場合にはTridentかWebkitエンジンで表示するようにしておくといった使い方が可能です。
Webサイトを作っている身としても、各種ブラウザの表示イメージをすぐ確認できるのはよいところですね。早速自分のサイトを表示させてみたところ、次の通り。
○Tridentで表示
Internet Explorer、Sleipnirと同じ見慣れた画面で表示されました。
○Geckoで表示
サイトデザインで一番苦心した、画面上部のナビゲーションバーに"丸み"を持たせるために配置させたバー左横の小さい画像が、ナビゲーションバーと位置がずれてしまい、見苦しい状態になってしまっています。うげー。
○Webkitで表示
最初、Flashムービーが表示されなかったのですが、これはWebkit用のFlashプレーヤーをインストールする必要があったため。インストール後はTridentとほぼ変わらない表示になりました。ただ、Google Chromeの時にも感じましたが、なんかフォントサイズが小さいです。
Geckoエンジンのときに表示が崩れる現象については、色々とネットで調べたものの、解決策が見つかりません。
小さい画像をただのIMGタグで表示させているのに対し、ナビゲーションバーはFlashなので、Object、Embedタグで表示させていることが、表示の崩れる原因かと思ってはいるのですが・・・。試しに小さい画像もObject、Embedタグで表示させるようにしたものの直らず。仕方がないので、小さい画像は削除することにしました。どなたか、解決策があれば教えてください~。
話が少々ずれてしまいましたが、Lunascape5.0rcはかなり使えます。Gmailも軽快に表示されるようになり、イライラはなくなりました。
また、ブログやウェブメールを書いている時に、誤ってタブを閉じてしまったり、戻るボタンを押してしまい入力内容が消えてしまった場合でも、 そのフォームの入力内容(文章)を保護し、復元する機能が結構お気に入りです。
そして、Sleipnirでは使えなかった、Trendツールバー(ウィルスバスター付属のツールバー。怪しいサイトの検知、無線LANの保護、キー入力の暗号化が可能)が使えることもうれしい限り。
ただ、rc版ということから、結構不具合があります。
終了すると、異常終了してごめんなさい的メッセージが出たり、ページにアクセスしたときに突然強制終了することがあったり、Geckoエンジンのときは「進む」「戻る」ボタンの履歴が「5つ前に戻る」みたいにサイトのタイトルが表示されなかったり・・・(これは次回バージョンで解決されるみたいです)。
プラグインも、期待していたよりは数が少なく、Firefoxのように、痒いところに手が届く系のツールがもっと欲しいなぁと思います。
まぁ、不具合やプラグインの少なさをカバーするほど使い勝手がよいので、当分このブラウザで行くことにします。早く5.0正式版が出ないかなぁ。
【レビュー】Google Chromeよりも速い最強・最速ブラウザ?Lunascape5.0rc版
2009年2月18日